鼠志野 草文 額皿

鼠志野 草文 額皿
Picture of 鶴田 純久の章 お話
鶴田 純久の章 お話
鼠志野 草文 額皿
鼠志野 草文 額皿

Gray Shino rectangular dish with grass design
Length 19.8-22.9cm
高さ4.7cm 口径19.8~22.9cm 底径13.3cm
 サントリー美術館
 鼠志野の額皿はかなり残っています。これは轆轤でひいたものではなく、いわゆるたたら作りで、薄く板状に切った土を土型に被せて作ったものでしょう。型作りですから形式はほぼ一定していて、直線的に開いた縁をもつ長方入隅形で、四隅にまるく変化がつけられています。これは数ある額皿のなかでも、文様の優美なこと、釉膚の焼き上がりの良さなど出色の作例であります。底の四方に脚を付け、その脚部に目跡が残り、見込の四隅にも小さな目跡があります。文様も岩を中央に野草が描かれ、ややかたい彫りではあるがよくまとまっています。底部の焦げは鮮やかでそこに指跡が残り、また釉膚の鼠色が中央で薄く濃くくっきりと分かれていますのは、半面ずつずぶがけしたのでしょう。久尻の隠居山表窯の作とされています。額皿といいます呼称はもちろん近代のものであります。

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