伊賀擂座花入 銘芙蓉 003

鶴田 純久
鶴田 純久
伊賀擂座花入 銘芙蓉 003
伊賀擂座花入 銘芙蓉 003

Flower vase with row of bosses, known as “FuyS¨ Height 28.6cm Registerd as lmportant Cultural Property

重要文化財
高さ28.6cm 口径11.5cm 胴径13.8cm 底径12.6cm
 「この伊賀に上野あるかは志らねとも 花は不用と 人ハ云ふなり」と、この花人を愛蔵した益田紅艶(鈍翁舎弟英作)が狂歌を一首、箱の蓋裏に記して賛美しています。たしか:こその下自然な感さえ抱かせる華麗な景色は、まさに花不用(はないらず)という:こふさわしい。
 伊賀花入のなかではもっとも厚手に成形され、朝顔形:こ開いた口縁をまるく玉縁にし、口部は撫四方に、胴は円形に作られています。
肩はまるく張り、胴に少しくびれをつけて裾はすぼまり、分厚い円座状の底ががっしりと総体をうけています。肩には小さな擂座を五つ配し、胴にも縦箆目を十本くっきりとつけていますが、その箆目から一部窯割れが生じています。口の内部と側面の一方、さらに肩から胴にかけて若緑色の灰釉がかかり、釉の厚くかかった部分は貫入があらわれています。口側の一方と胴の一方は赤く、裾は変化のある紫黒色に焦げ、円座状の底部側面から底にかけては土膚があらわれ、胎土は比較的やわらかく焼き締まっています。肩に繕いがあり、円座の一部が欠け、□縁にもくっつきの跡が二か所残って白い土膚を見せ、これもかつて穿たれていた前後の欽付の穴跡を填めています。
 箱の蓋表に、やはり益田紅艶の筆で「芙蓉」の文字が金粉字形で書され、それは花不用に因んで芙蓉とあらわしたものでしょう。

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