伊賀耳付花入 銘聖

伊賀耳付花入 銘聖
Picture of 鶴田 純久の章 お話
鶴田 純久の章 お話

FIowervase with two handles. known as “Hiiiri”. Height 26.2cm

高さ26.2cm 口径9.8cm 左右12.8cm 底径11.3×11.6cm
 伊賀の花入には意表をつく器形が多いようです。この作品はなかでも特におもしろい作振りの一つで、剽げた作為を好んだ慶長時代ならではのものといえる。上下を撫四方に、中央で一段くっきりと引き締め、端反りの口縁は玉縁であります。この花入のおもしろみを決定づけている三角の耳を胴の左右につけていますが、全体的に形はよくまとまっています。一方には焦げたビードロ釉が厚くかかり、一方は赤く焼き締まった膚に草緑色の釉が肩から二条なだれ、また鉄柚が一筋流れています。平らな底に窯割れが生じ。まわりにくっつきの跡が残っています。鴻池家に伝来したもので、箱の蓋表に「聖」の銘があります。この奇形に「聖」と名付けた茶人のユーモアがまたおもしろい。

前に戻る
Facebook
Twitter
Email