Flower vase, known as “ChSrS”. Hight 27.5cm
高さ27.5cm 口径8.0cm 左右19.0cm 底径9.0×13.8cm
これも意表をついた形姿であります。左右を突出させた舟形状の扁平な胴からながい頸が立ち上がり、口は室町期の壺などにみる段作りにしています。裾まわりは面取状に箆取りし、平らな底は楕円をなし正面は口部から胴にかけて灰が厚く降りかかって、あたかも苔のような趣の景をなし、背面は薄赤い焦げ膚になっています。胴の右半分はやわらかく焼き締まった土膚があらわれ、二筋の窯割れが生じています。頸の上下に五条の櫛目文をめぐらし、二条の縦筋を四方につけています。「長郎」銘は、ぬうっとした頸部の形体をとらえたものでしょう。桃山の伊賀花入のなかでも古格の作行きであります。
