高さ11.0cm 口径11.0cm 高台径5.0cm
萬野美術館
やや厚手の筒形茶碗で、まるみあるロ縁は一部端反りぎみである胴には轆轤目が緩やかな起伏を見せ、まるみをおびた腰は強く張り茶碗に力強さをもたらしています。小振りの高台は作振りもいたっておもしろく、高台内をまるくくっきりと削り出しています。高台脇に強い箆彫りを二本加え、胴に四、五本縦箆をつけるなど、強いうちにも十分おもしろみのある茶味に富んだ作であります。高台まわりを残して無造作に黒釉がかかっていますが、四か所ほどくっつきがあらわれ、腰にも指跡が残っています。畳付にわずかに糸切の跡がうかがわれる。内箱蓋表に「瀬戸黒茶碗 日松」の書付があり。筆者は戸田露吟で、かつて露吟が愛蔵していたものらしい。
