色絵雉香炉
Ninsei: pheasant-shaped incense burner, enamelled wareLength 47.6cm Ishikawa Prefectural Art MuseumRegistered as National Treasure
国宝
高さ18.0cm 長径47.6cm
石川県立美術館
仁清は轆轤の名手であるとともに、彫塑的な細工物にもなみなみならぬ手腕を持っていたようです。いまは御室焼仁清の窯場がどのような組織であったか判然としませんので、轆轤の名手初代仁清が細工物に非凡な技を示したものか否かは判断できませんが、同一人の手に成ったものとすれば、まさに近世第一の名工といっても過言ではありません。華麗な雄雉一羽、みごとに装飾化されて香炉になっています。
「色絵藤花図茶壺」 とともに双璧をなす名作として国宝に指定され、仁清の残した細工物のなかでも稀にみる優作です。
嘴から尾先にいたるまでまことに均衡よく、釉がけもむらなく丁寧に、上絵の配色も隅々にまできめ細やかに気を配り、ことに黒の上に緑の絵具をかけ、細い金の線描でくくった羽毛の表現は鮮やかです。腹部を香炉の身にし、背には羽毛形の孔を四つ透かして煙出しにして、身の内部と背裏の一部に釉をかけ、露胎の底に「仁清」の小さな幕印が捺されていますが、伝えによるとこの印は仁和寺宮からの拝領のものであったといいます。
かつて金沢の旧家山川家の蔵でしたが、先代山川庄太郎翁が石川県立美術館創立に際し寄贈されたものです。
国宝 昭和26年6月9日指定
Pheasant-shapedincenseburner,enamelledware.ByNinsei.Edoperiod,Japan.
石川県美術館蔵
頭高180㎝全長44㎝
茶壺と共に仁清の作品を代表するのがこの香炉でしょう。鋭く前方を見つめた表情や、ろく長く張った尾の表現などから、轆轤技に優れたといわれる仁清が、彫塑作品にも優れた手腕の持ち主であったことが窺われます。外側全体に仁清独特の卵の斑釉がかかり、羽毛は黒うわえのぐの上から緑の上絵具でおさえて金彩を加えています。さらにつばさから尾にかけては青・紫・赤・金の上絵具が用いられ、仁清の色絵陶の中でもことに華麗な作品であり、陶技の最も完成された時期のものと思われます。底に「仁清」の幕印が捺されています。加賀前田家に伝来したもの。(赤沼)