湖西古窯址群 こさいこようしぐん

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鶴田 純久の章 お話

静岡県浜名郡湖西町および新居町に分布する古窯址群。
窯跡は浜名湖南西岸の一角を占める高師山丘陵の谷斜面に群在します。
高師山丘陵は愛知県豊橋市高師原・天伯原、浜名郡湖西町新所原などを包括する広域な洪積丘陵地帯の最東端に当たります。
高師山丘陵一帯には鷲津泥層と呼ばれる土層の堆積があるようで、その層中に白色の精良な粘土を含んでいます。
この白色粘土は長石を主体とした石英などを含みますが、鉄分は少なく、特に陶土として適しています。
湖西古窯址群ではこれまでの調査でおよそ二百基前後の窯跡を発見していますが、窯跡群の存続年代は古墳後期(六世紀前半)から鎌倉時代二三、四世紀)まで極めて長期間にわたっています。
このうち古墳時代に属する須恵器窯址はわずか数基に過ぎず、奈良・平安時代に最も盛えました。
また平安末期から鎌倉時代にかけての山茶椀窯も数十基含まれています。
湖西古窯址群における製品の種類は主として蓋・杯・椀・盤・皿・各種壺・甕・高杯・聘・摺鉢・甑などの容器類で、時代の変遷に従っ’て器種の消長が認められます。
また当古窯址群は浜名湖を間近に控えているため、漁具の一つである陶錘を生産していることは興味深いです。
他に陶馬・陶硯・獣脚付の壺・盤なども発見されています。
なお窯体の構造については、時代によって多少の部分的改良は認められますが、基本的には全時期を通じていわゆる客窯の形式でありました。

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