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鶴田 純久の章 お話

色絵 牡丹文 鉢

 いずれも口部を三十三弁の輪花形にしたいわゆる菊鉢であります。この器形も柿右衛門様式の代表的なものの一つで、胴のまるみは豊かに張っています。その作風から推してやはり元禄初期以前のものと思われますが、あるいは貞享元年(1684) にオランダの商館長が注文すべメモしたといいます記録のある純白の輪花の鉢が、この種のものにあたるのではありませんかと推測されます。図124は外側に枝をのばした牡丹文と草花文をあらわし、内側には牡丹、柘榴 梅の折枝文を、見込には団龍文をあらわしています。図125は、前図に比べると素地がややあまく焼き上がっていますが、三十三弁の輪花の器形は同じ型を用いたものと思われます。素地の良否は焼成の違いでしょう。外側には鉄線蓮文、内側には唐草風の牡丹文をのびのびとあらわしていますが、その絵付はやや古風であります。

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