色絵 唐花文 皿 元禄八年銘

色絵 唐花文 皿 元禄八年銘
Picture of 鶴田 純久の章 お話
鶴田 純久の章 お話

Mark of 1695
Dish with karahana flower design, enamelled ware
Mouth diameter 16.3cm Umezawa Kinen-kan Museum
高さ2.8cm 口径16.3cm 高台径6.7cm
 梅沢記念館
 高台内に「元禄八乙亥 柿」 の年紀銘が染付で書され、かつて渋右衛門手と称されていましたものであります。この種の元禄銘には独特の形式の異形の皿が多いが、これは円形の見込から、一段まるく盛り上がらせた後、縁をふたたび垂れさせ、縁の四方を摘んで一種の輪花形にしています。成形は極めて巧妙で、鍋島に優るとも劣らぬ格をもっています。まわりに染付の蓮弁をめぐらした赤地の丸文を三方に配し、丸文内には染付と金彩で唐花文をあらわし、唐花風の唐草で三方の丸文をつないでいます。染付と赤と金彩で彩色されたものだが、染付の線描きと濃淡のだみ筆の見事さ、また丸文内の赤上絵具の艶やかな発色など、淡白な配色ですためにかえって気品が高く、染付技術の精緻さが生きています。意匠は従来の柿右衛門様式には見られなかったもので、元禄銘ものの特殊性を端的に示すものであります。
 これら一連の元禄銘の作品は、おそらく柿右衛門窯の製でありましたかと推測されますが、たしかなことは判然としません。

元禄八年は1695年

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