Picture of 鶴田 純久の章 お話
鶴田 純久の章 お話

中興名物。金華山茶入、瀬戸天目手。小振りの子茶入で、釉は飴色に紫色を含んで天目にみられるような光沢がある。もと小堀遠州所持、寛政(1七八九1801)頃松平不昧が金十枚でこれを求め以来雲州松平家に伝来。(『名物記』『古今名物類聚』『麟鳳亀龍』『大正名器鑑』)

こなす 小茄子

瀬戸金華山窯茶入、天目手。
中興名物。
茄子茶入の小形のもの。
『万宝全書』に「小茄子天目手、建盞の天目を見る如く、此故に天目手といへり」とあります。
口縁厚く、飴色に紫を含んだ光沢のある釉色で、天目釉を思わせるものがあります。
裾に三カ所ほど釉切れがあって、柿色が現われています。
腰以下に箆で切り回したような作行きがあり、底は渦糸切で、二カ所に釉飛びがあります。
茄子に近い形も瀟洒で、釉も軽妙にかけられ、くだけた小振りな姿ゆえ、佗び席にはこの小兵な点をとり合わせてこそ働きのある茶入でしょう。
小堀遠州がこの種の珍品として見立て、寛政(1789~1801)の頃松平不昧が五十両で求め名物並之部に編入し、中興名物同様に秘蔵すべき旨を嗣子に遺言しました。
遠州が家の胴に「小茄子」と字形し、箱に「瀬戸 天目手」と墨書し、外箱にも不味が「天目手」と墨書しています。
仕覆三枚で、茶入にふさわしく好みも洒脱で、継合ものなどを加えています。
『名物記』『麟鳳亀龍』『万宝全書』ほか諸書にも記載。
【付属物】蓋二蓋箱 桐白木、書付松平不昧筆 仕覆―三、焼裂白緞子継合・縦筋緞子・花色地花兎古金襴(図版右より) 仕覆箱―桐白木、書付同筆挽家―欅、遠州好、春慶塗茄子形、胴金粉字形・書付小堀遠州筆家仕覆格子縞花布 堆朱輪花楼閣人物盆 内箱―桐白木、書付同筆 外箱-桐白木、書付松平不昧筆
【伝来】 小堀遠州―松平不昧
【寸法】 高さ:5.7 口径:2.7 胴径:5.2 底径:2.5 重さ:62

前に戻る
Facebook
Twitter
Email