日本碍子株式会社が開発したNGK点火栓事業そ他を継承し1936年(昭和一一)十月に資本金百万円で設立。それ以前第一次世界大戦後の自動車の輸入急増に対応して日本碍子は点火栓の開発に着手し、1930年(昭和五)発売するに至った。当時わが国の自動車用点火栓は輸入品の全盛時代で、ロッジ(イギリス)、チャンピオン(アメリカ)、ボッシュ(ドイツ)などが市場を制覇していた。その後満州事変の勃発に際し、NGK点火栓は陸軍自動車学校の検査に良好な成績をおさめ、ようやく量産へ向かった(月産千個)。日本特殊陶業設立後間もなく日華事変・第二次世界大戦に入り、同社は全面的に軍需品(航空機用点火栓)生産会社となった。品質改良の経緯は当初菫青石系から出発し独立後マグネシア系素地を完成。戦後はマグネサイト・タルクの輸入困難を考慮してアルミナ質に転換。陶磁器工場としてはいち早くスプレードライヤー、ラバープレス、自動削機などを導入し、また高火度トンネル窯を新造し、これを契機にアルミナ質主体の特殊磁器分野を開拓した。点火栓では圧倒的に首位の座を占めている。