茶書。堺の茶人直松斎春渓の筆録。三巻から成っており、永禄七年(1564)の奥書がある。概説のほかに客人類・掛物類・花瓶類・茶壺・小壺類・台子・風炉囲炉裏類・天目茶碗其他・香炉類・座席というように部類を分け、茶法と名物道具およびその所有者などについて説明している。
有名な「当時数寄唐物ハイラヌ様ニ成タリ浅間敷事也云々」の言葉もあり、利休の佗び茶確立までの推移を知るのによい資料である。春渓は春慶とも称し、堺の塗師で、『松屋会記』に「此仁ハ壺ヲ焼カセ天目台細工ニセラル」とみえる。
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