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鶴田 純久の章 お話

Three-color glazed ware: covered jar. Perhaps excavated at Noborito, Kawasaki-shi, Kanagawa. 8th century. Height 16.5cm.Cultural Property.
伝神奈川県川崎市登戸出土
8世紀
総高16.5cm 蓋径12.1cm 身口径10.3cm 胴径19.8cm 底径12.9cm
重要文化財
 昭和初年、川崎市登戸近辺から出土したということで、故小林古画伯のもとに持ちこまれたもので、当時なかに火葬骨が入っていたといい、蔵骨壺として用いられていたことが知られます。その釉調の鮮やかさの故に一時偽作説を生んだほどですが、このような蔵骨壺は石櫃に入れられるのが通例であるからきわめて保存状態がよかったのでしょう。素地・成形・施釉手法・焼成のいずれをとって当時の技法を正しくふまえており、この種の三彩壺のうちでは最高傑作のものです。素地はやや鉄分を含んだピンク色でよく焼き締まっており、肩から胴にかけて四段の二重沈線があります。肩の張りを失った球形にちかい胴の形態や端正につくられた蓋の宝珠形の鈕の形から推して、奈良時代も終わりにちかい年代を与えるべきでしょう。白斑を段ちがいに散らした緑地の格子の交点に黄褐釉を点景として添える施文手法は、すべての三彩壺に共通するところです。高台裏に朱が鮮やかに付着して残っており、他例と同様に、石櫃に入っていた可能性がつよい。

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