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鶴田 純久の章 お話
二彩 浄瓶
二彩 浄瓶

Two-color glazed ware: holy water pitcher. Excavated at Nanatsu-ike, Kōriyama-shi, Fukushima. 8th century. Height 29.0cm. Registered as ImportantCultural Property. Enju-ji.
福島県郡山市小原田町七ッ池出土
8世紀
高さ29.0cm 胴径13.4cm 底径9.6cm
重要文化財
円寿寺
 奈良時代後半から平安時代にかけて、佐波理の浄瓶を模した陶製のものが仏器としてさかんにつくられていますが、鉛釉を施したものはまだ本器一点しか知られていません。昭和十三年十一月二十三日、小原田町西方の七ッ池の丘陵斜面中腹から須恵器大甕に入って出土したもので、須恵器水瓶 円面硯、黒色土器の小壺、土師器甑を伴出しています。付近ではこの地を 「普現壇」 と呼んでいますが、遺跡の性格はあきらかでありません。
 二彩浄瓶は数片に割れて出土したもので、惜しくも口縁端を欠失しています。素地は黄白色の緻密な土を用いていて、胴下半部は比較的よく焼き締まっていますが、上半はやや焼きがあまいです。成形はシャープな轆轤仕上げで、端正な形をしています。三彩釉文は正倉院の二彩瓶と同様な白釉を鹿の子斑状に散らしたもので、まったく同一のパターンです。下半部はよく熔けて深緑色をしていますが、上半とくに口頸部は薄く、釉の剥落がいちじるしいです。

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