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鶴田 純久の章 お話
灰釉 手付水注
灰釉 手付水注

Ash glaze pottery: ewer. Excavated from a kiln site at Orido, Nisshin-machi, Aichi. 9th century. Height 13.2cm.
愛知県日進市古窯跡出土
9世紀
高さ13.2cm 口径4.7cm 胴径10.6cm 底径7.8cm
 口頸部から肩にかけて扁平な把手を取り付けた徳利形の瓶はさきにも述べたように、大小二種のものがあります。小瓶には把手を有するものと無いものがあり、前者には肩に注口をもったものが少数ながらつくられています。本器のごとき小瓶は9世紀代に猿投窯において灰釉陶器として出現したものであり、その源流は唐末の越州青磁水注にあって、器形的には瓜二つのものがつくられています。注口を有するものはその初期にぞくするものであり、胴のふくらみが大きい。
 把手を失った11世紀代のものは肩の張りを失い、相対的に口頸部が大きくなっています。
 本器は胴下半に山疵がありますが、水注としては、珍しく完好な形を保っている数少ない一例です。白色の良質の土を用い、薄手の上作で、器面全体に施された灰釉がよく溶け、下半部には空色の釉が流れて見どころをつくっています。底裏に糸切痕があり、水挽き轆轤成形であることが判ります。

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