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鶴田 純久の章 お話
瀬戸 鉄釉印花文燭台
瀬戸 鉄釉印花文燭台

Seto ware: candlestick with stamped ornament, iron glaze. Excavated from Shimizuta Ceramic Kiln, Higashi Yamaji-cho, Seto-shi, Aichi, 14th century.
Height 21.0cm.
愛知県瀬戸市東山路町清水田窯出土
14世紀
高さ (推定) 21.0cm 上面径5.7cm 底径8.8cm
 古瀬戸の燭台は鎌倉時代末の古瀬戸最盛期に出現したと考えられますが、作例はきわめて少なく、その生産が増加するのは室町時代に入ってからです。当時の場は輸入の密あるいは松樹脂による木蠟ですが、きわめて少なく、上層階級にのみ使用され、一般では灯油を皿に入れて用いたものと考えられます。鎌倉末から室町時代にかけて、古瀬戸の燭台は細部の相異から数型式に分けられていますが、大きくみれば、扁平な台をもった棒状の先端を拡げて蠟受けの凹部をつくっているものと、安定した裾開きの器台の上端に杯部を設け、さらに台脚のやや下に蠟受けの血状部分をとりつけた二種のものに分けられます。前者は鎌倉様式、後者は室町様式と呼ぶことができましょう。本器は鎌倉末の古瀬戸最盛期のものであり、水挽き成形で、棒状の部分に印花菊散らし唐草文を施し、外面に黒褐色の鉄釉を厚くかけています。数少ない古式燭台の好例です。

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