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鶴田 純久の章 お話
珠洲 花瓶
珠洲 花瓶

Suzu ware: flower vase.
Excavated at Gōroku, Yanaida-mura, Ishikawa. 13th century. Height 36.6cm. Fukushō-ji.
石川県鳳珠郡能登町合鹿出土
13世紀
高さ36.6cm 口径11.0 ~ 11.5cm 胴径21.3cm 底径18.5cm
福正寺
 短いやや外反する口頸部、角ばった肩をもつ長い胴、八の字形に開いた台脚をもつこの器物は台付壺というよりは仏花瓶の変形とみるべきものでしょう。非常に厚手のつくりで、胴部五段つぎの輪積み成形で、器面は箟削りによって平滑に調整されています。やや粗い陶土を用い、焼成はきわめて堅緻で、肩・胴の一部および台脚に白ごまふりの自然降灰がみられます。中世の陶器では古瀬戸以外に花瓶をみることはなく、珠洲焼においてもわずかにこの一点のみがしられます。したがって、これを古瀬戸の影響とみるべきか、あるいは平安時代須恵器の伝統を残しているとみるべきかは、珠洲焼の性格とあいまって今後の研究課題の一つでしょう。鎌倉初期の代表的作品です。

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