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鶴田 純久の章 お話
信楽 壺
信楽 壺

Shigaraki ware: jar. 15th century. Height 42.1cm.
15世紀
高さ42.1cm 口径12.8cm 胴径31.9cm 底径18.0cm
 外反する短い口頸部の端を肥厚させ、外側に一段屈折させたこの口づくりは室町後期の玉縁風になる前段階のものでしょう。なで肩の端正な形をしており、底径はすでに口径より大きくなって安定感に富んでいます。信楽特有の珪石を多く含んだ土を用い、胴部四段のはぎづくりで、焼成火度はさほど高くありません。器面の珪石をかんだ部分には細かいひびわれが生じています。数多い信楽大壺のなかでこの壺がいかにも優美な感を与えるのは、器面の淡い火色にかかった自然釉の浅緑色のとり合わせによるものでしょうか。口縁部から胴下半にかけて流れた一条の緑釉が景趣を添えています。信楽のなかでは最も優雅な壺の一つです。

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