Ninnami: bowl with cherry and maple design, enamelled ware
Mouth diameter 17.1~18.3cm
高さ10.7cm 口径17.1~18.3cm 底径8.3cm
仁阿弥道八が好んで作った雲錦手の傑作です。道八は乾山風の意匠をその作品に大いに取り入れていますが、雲錦手と呼ばれる桜と楓を相対してあらわした独特の意匠の鉢は、仁阿弥道八の代表的なものとして声価が高いです。なかでもこの鉢ほど優れた作行きのものは極めて少ないです。
乾山焼の桜楓文の鉢は見たことはありませんが、あるいは本歌が残っていたのかもしれません。口造りを文様に応じて細かに切り込んだ作行きは乾山の好んで行ったところであり、この鉢も桜と楓の文様に応じて口造りに変化をつけています。銹絵で桜と楓の幹や枝を描き、やや濃い上絵で花と紅葉と青い葉を賦彩し、さらに幹の上に金彩を加えて一段と装飾性を盛り上げています。高台内に、乾山が行っているのと同じように、白化粧がけ地の上に銹絵具で「道八」の文字を矩形の枠内に書し、その上に透明釉をかけていますが、一部見せになっています。共箱で、蓋表には 「雲錦 鉢 道八」 と書し、「仁阿弥」 の印を捺しています。