赤筒茶碗 銘寿老人 長入

赤筒茶碗 銘寿老人 長入
Picture of 鶴田 純久の章 お話
鶴田 純久の章 お話

Chōnyü: cylindrical tea bowl, known as “Jurōjin”, Red Raku
Mouth diameter 9.0cm
Fushin-an
高さ9.5~9.9cm 口径9.0cm 高台径4.8~5.0cm
不審庵
 内箱蓋裏に 「吉左衛門赤 寿老人 左(花押)」と如心斎が書き付けています。また箱の側面に 「福井ヨリ到来 子年」とありますので、如心斎時代から不審庵に伝来したものではなく、後の庚子の年に京都小松原の福井家から贈られたものと推測されます。当巻に収録した長入の赤茶碗は二碗とも筒形のものになりましたが、それは共箱もしくは同時代の宗匠の箱に収まったものを求めたためです。これも如心斎の書付であるから宝暦元年、長入三十八歳以前の作であり、黒茶碗よりもやや後作かと推測されるが判然としません。
 腰にまるみをつけた筒茶碗で、やや大振りの高台は、外側をほぼ五角に、内側をまるく作り、高台内に巴の兜巾をくっきりと削り出しています。口造りの起伏は典型的な五岳で、あるいは五岳が形式化するのは長入の頃からではないかと思われます。外側上部に太い箟目を加え、内側にも段をつけ、見込中央には指でつけたような変形の茶溜りがあります。高台まわりは土見せで、胴裾に楽字の印を捺し、黄土下地の上に白釉をかけた釉膚は明るく鮮やかです。

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