赤筒茶碗 銘瀧 長入

赤筒茶碗 銘瀧 長入
Picture of 鶴田 純久の章 お話
鶴田 純久の章 お話
赤筒茶碗 銘瀧 長入
赤筒茶碗 銘瀧 長入

Chōnyu: cylindrical tea bowl, known as “Taki”, Red Raku
Mouth diameter 9.4cm
高さ9.8cm 口径9.4cm 高台径5.6cm
 内箱蓋表に 「赤茶碗 楽吉左衛門」 蓋裏に 「龍ト云 (花押)」と如心斎が書き付け、横に了々斎が 「無紛也 左 (花押)」 と極め書しています。共箱の書付が 「楽吉左衛門」 であること、また如心斎は宝暦元年に残していますので、いうまでもなく宝暦十二年四十九歳で剃髪して長入を名乗る以前の作であり、おそらく二十代後半から三十代前半の間の作であったにちがいなく、作振りもものに老いたところがなく、どこか若々しいです。
 光悦茶碗の影響のうかがわれる作行きで、角張った腰に浅く面を取り、筒形の胴には平らな箟目を大胆にめぐらしています。円形の高台は高く大振りで、畳付広く、高台内の削込みは深いです。口縁に緩やかな起伏をつけ、見込中央に、まるく小さい茶溜りをくっきりと削り込んでいます。胴裾に楽字の印を捺し、釉を胴裾までかけて、高台から底まわりは土見せにしています。赤い釉膚は濃く薄く変化して、ところどころに火変りもあり、まことに優美な景色の茶碗です。

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