黒茶碗 銘香久山 道入

黒茶碗 銘香久山 道入
Picture of 鶴田 純久の章 お話
鶴田 純久の章 お話

Dōnyü: tea bowl, known as “Kagu-yama”, Black Raku
Mouth diameter 10.1-10.4cm
高さ7.4cm 口径10.1~10.4cm 高台径4.7cm
 加賀に伝来した道入の優作七碗を選んで ノンコウ加賀七種”と称されていますが、この茶碗はその一つです。おそらくその穏和な姿に因んだのか、内箱蓋裏には 「香久山茶碗」 と江岑宗左が書き付あけ、外箱蓋裏には碌々斎が「ノンカウ造 黒茶碗 江岑宗左書付 香久山下有 左 (花押)」 と極め書しています。道入としても異色の作行きで、器形は「虹」(図59,60) と似ています。全体まるみ豊かに作られ、高台は低く、高台内の削込みも浅いです。このように加賀七種には、典型作というよりもおもしろみの強い作振りのものが好まれて選ばれています。全体に薄作りで、見込が広く作られているのは道入独特のものであり、高台とそのまわりを残して全体に黒釉が厚くかかっていますが、高台まわりも土見せではなく薄く釉がかかっています。高台内に楽字の印がくっきりと捺され、畳付には目跡が三つ残っています。
 器形は光悦の「くいちがゐ」などと似ており、光悦の影響を受けた作の一つです。加賀の宮竹屋商斎、越沢太兵衛、平沢喜三郎、越沢太助 横山家と伝来しました。

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