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鶴田 純久の章 お話
備前 手鉢
備前 手鉢

Bizen bowl with handle across mouth
高さ12.5cm 径21.7×25.0cm 底径19.0×19.8cm
 桃山から江戸初期にかけて、備前ではさまざまの形の手鉢が好んで焼かれたらしく、徳利と同じく優作がかなり多く伝世しています。丹波、信楽、伊賀などの寂物には徳利や手鉢は極めて少なく、いわぱ備前の特産の一つにあげることができる。
 縁を低く立ち上がらせた半月形の平鉢に弓形め手がつき、立上りはやや外に開いています。手は外側から見込にかけて渡していますが、その変則的な作為は、おそらく当初から考案されたものではなく、当意即妙のものかと思われます。手らな見込は中央が低く持ち上がって反り、そこに大きく三つ、赤い土膚を見せたまるい抜けを残して胡麻釉が厚く降りかかっています。俗に牡丹餅と呼ばれるまるい抜けは、そこになにかを上乗せして焼いたために生じたものだが、その装飾的効果をまったく意識しなかったとは思えない。手らな底の中央に「×」-「△」「-」の印をつけています。

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