大名物、八幡名物。
『八幡名物帳』(または『滝本坊名物記』)によれば「東山殿御所持」とあり、その伝承の古さがわかる。「琴棋書画」といえば古くより中国に用いられた画題で、仙人高士の弄するものとされ、この意匠もそれに因んでつくられたと思われる。
元来は伽羅箱として用いられたものが、松花堂の頃にはすでに茶の香合として名物視されていたことがわかる。蓋表はまさしく碁盤で、梨地の上に黒漆で盤目が引かれている。さらに蓋内側に折枝の菊蒔絵があり、時代の古さが推察される。
【付属物】箱桐白木、書付松花堂昭乗筆 外箱 黒塗、書付長田新月筆 香包―二
【寸法】 高さ：3.6 長さ7.9 幅7.3
【所蔵】藤田美術館1
