清閑寺窯の歴史は行基菩薩の昔はともかく、すでに室町時代に音羽屋九郎右衛門なる人が音羽焼の名で製陶を行ったと伝えられます。
しかしその作品に優作の現れるのはやはり仁清が色絵を完成したのちのもので、この浪花入はその代表作とみられます。
奇想天外な造形意匠はすでに仁清にもみられ、鋤・錠前・琵琶などの花入があるようで、これに対し古清水系のものにも傘・水引・本などの意表をついた花入が知られます。
旗は矢を入れ背中に負う器具で武具に属しますが、武より文を重きに置く殿上人がこれを好尚したことが興味深いです。造形・彩色とも傑出しており、和全が「清閑寺 旗花入」と箱書しています。
《寸法》高さ33.1 幅13.0《所蔵》滴翠美術館