旧名 松本肩衝 唐物 大名物
重文
付属物
蓋一 窠
仕覆四
仕覆外箱 黒塗 金粉文字 書付
挽家一 黒塗 藤重作
挽家仕覆 一 革
羽根田五郎造作 四方盆
外箱 黒塗 金粉文字 書付
伝来
松屋源三郎久政（松屋一世 桃山期）―松本珠報（珠光の高弟 室町中期茶人）―足利義政―村田珠光―古市播磨（室町中期茶人）―松屋源三郎久行（松屋二世 室町末期茶人）―島津家―根津青山
所載
深田正韻著 喫茶余録 松屋久重日記 名物目利聞書 雪間草茶道惑解 古今名物類聚 松屋会記 津田宗及茶湯日記 今井宗久日記抜萃 宗湛日記 松屋筆記 三斎物語 松平不昧伝
寸法
高さ：7.7cm 口径：4.7cm 胴径：8.5cm 底径：5.0cm 重さ：113g
所蔵者
東京 根津美術館
この茶入は、茶道の創成期から、やかましくもてはやされつづけた茶入である。この茶入の特長は、肩衝にはまれな、ひらた目、胴ぶくらである。ことに釉がかりの景色、珠光・利休・織部・遠州の四宗匠がそれぞれ自ら好むところの置き形を定め、しかもそれぞれ好みの仕覆をそえているのは、この茶入がいかに賞美されたかを物語るものである。
むかしから、徐凞の鷺と存星の盆とともに三名物のこの茶入の一見を願って松屋を訪れたという話は、幕末の頃までつづいていた。この三器は、のちに島津家にゆずられたが、徐熙の鷺は、今日に伝わっていない。
とにかくこの茶入は、茶人間では伝説的な大名物のうちの代表的なものである。
