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鶴田 純久の章 お話

瀬戸後窯茶入。
正意作。
中興名物。
「面壁」 (239~頁)と同じく達磨の形に似ていることから、「立てる岡辺に向ふ達磨どの暮れ行く空をあはれとも見よ」の歌意に因んで付けられた銘で、内箱に小堀遠州が蓋甲に銘を、裏に引歌を記しています。
これによって遠州の命銘であることがわかります。
伝来は稲葉丹後守正往の所持で、明和のはじめ頃三井八郎右衛門に移り、次いで三井三郎助の有となりました。
その後京都の道具商松岡某が所有し、さらに藤田家に納められることとなりました。
約束どおり肩は丸く、総体に粗い轆轤目がめぐっていますが、胴が上下とも同じ太さであることは、上太の「初「祖」「面壁」、下太の「六祖」と多少違った造形をみせています。
釉質・釉景としきもこの手の同類と同じで、栗皮色釉に金気を帯び、砂子のごとく銀色の輝きがみられます。
ただ一ヵ所肩に金気釉の飛びがみられ、甑周りに青みを含んだ帯がみられることが特徴となっています。
裾以下に金気の多い土が露われ、底の糸切は荒く鮮明で、起点に 高さ:の食い違いがみられます。
『古今名物類聚』 『三冊本名物記』 『麟鳳亀龍』 などの名物記に記載されています。
【付属物】蓋 仕覆―四、紺地一房紋宝尽緞子・モール段織・永観堂金襴・鎌倉間道(図版右より) 挽家―黒塗 内箱―白木、書付小堀遠州筆
【伝来】 稲葉丹後守正往―三井八郎右衛門 三井三郎助 道具商松岡某―藤田家
【寸法】 高さ:8.8 胴径:6.1

中興名物。
後窯茶入、正意作。
箱蓋裏に命名者小堀遠州の自作と思える「松立てる岡辺に向ふ達磨どの暮れゆく空をあはれとも見よ」の狂詠が一首あります。
すなわち茶入の姿が達磨に似ているとしての銘であります。
稲葉丹波守所持、京都三井八郎右衛門、三井三郎助を経て大阪藤田家に入りました。
(『大正名器鑑』)

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