古信楽の底に凹または凸の下駄の歯のような印のあるものです。
信楽の足駄焼、伊賀の下駄起こしはほぼ同時代のものと思われます。
昔伊賀・信楽の轆轤台は極めて不完全で凹凸があり、とりわけその棹を嵌め込んだ二本の桟は凹凸がはなはだしく、その上で成形したものの底にも凹凸ができました。
その頃は成形後相当乾燥してから器物を台から移し、また箆あるいは糸切で器物を切るなどのことをしなかったため、凹凸の歯跡のあるまま焼け上がったものであります。
茶道が一般に行われるようになってから伊賀・信楽の諸窯ではこれを一つの窯印として使用した時代があり、近代になっては信楽に多くみられます。
(『伊賀及び信楽』)