『和名抄』漆器の類には『周礼注』を引いて「壺はツポ所以盛飲也」と注し、また瓦器の類には『楊氏漢語抄』を引いて「増はツボ壺也、今按ずるに木謂之壺、瓦謂之増」と注しています。
壺も堆も古制ではそれほど厳密な区別はなかったようであります。
新井白石によれば「ツボとはその形の円なるをいひしと見えたり、古の俗およそ物の形円なるを呼びてツブといひツボといふ、円読みてツブラといひ粒読みてツブといひ水抹をミツボといひ草木の荷蓄をツボミといぶか如き皆是なり、壺の如きも古にはツブといひけること『日本書紀』に見えたるが如し」といいます。
体が丸く口のすぽんだ器はすべて壺と称し、漆器・陶磁・金属などでつくられ、どこの国にも古くからあるもので種々の用に供され、窯器だけに限っても千差万別であります。