中国産天目茶碗すなわち建瀕ノ一種。
茶碗の黒色のうちにさらに濃い紺色の群星が散在し、色彩の変幻がきわまりないところからわが国で曜変と名付けられました。
室町時代からの語で、『能阿相伝集』に「曜変天下に稀なる物也薬の色如豹皮建瀕の内の上上也」とあるのを初見とするようであります。
『君台観左右帳記』東北大学蔵永禄写本に「囃変建茜の内の無上也世上になき物也地いかにもくうくこきるりうすきるりのほしひたとあり叉き色自色こくうすきるりなとの色色ましりてにしきのやうなるくすりもあり万匹の物也」、同群書類従本に「建蓋の内の無上也天下におほがらぬ物なり万匹のものにてそろ」、『和漢茶誌』に「点液、星の如し。
故にこれが名となす」、『茶湯六宗匠伝記』に「建蓋の内の上なり、くすりだまりの中に銀色などのやうなる銀点あり」、『茶湯正伝集』に「建義の中に曜変油滴と言て此両種を上とす曜変と言は建蓋の中にてちぼちぼと星の如に銀点あるを云也」、『万宝全書』に「建瀕のうちにて第一の物也此類口本に拾有此心に星あり星薬色口伝有手鑑に目代金廿枚廿五枚」などとみえます。
遺品としては静嘉堂の稲葉天目、大徳寺竜光院、藤田美術館の曜変が有名であります。