永楽窯 えいらくよう

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鶴田 純久の章 お話

中国明朝の初め永楽年間(1403-24)に景徳鎮で焼成した磁器。
元末に完成をみた青花・釉裏紅がその主流を占めます。
胎質はこまかく堅緻で一般にやや厚づくりであります。
皿や盤の裏の露胎部では赤い焦げをみせることが多いようです。
器種は皿・盤・洗・水注・瓶などで遺品には比較的大きなものが多いようです。
元末の磁器の文様がアラビア風でかなり描き詰めているのに対し、永楽のものは余白が多く文様にゆとりがあり、文様の流れも優美ではなはだ洗練されています。
釉裏紅の遺品は青花磁に比べてあまり多くありませんが、性格はほぽ同じであります。
鮮紅磁もすでにつくられたと伝えられており、魚文の圧手盃のような遺品もありますが、果たして永楽窯かどうか疑う向きが多いようです。
永楽窯の名器には毛彫りによる「永楽年製」の篆書銘の入ったものがあると文献にはみえていますが、信じられ・る遺例は少ないようで、永楽代には年号銘を入れる風がまだ定着してなかったと考えるのが妥当であるでしょう。

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