高さ20.3㎝ 口径7.5cm 胴径19.0cm 底径13.5cm
俗に種壺とよばれている室町時代信楽小壺の傑作であります。本来、茶陶として生まれたものではないが、その詫びた作風は茶の世界で好まれ、ずんぐりとした姿に因んで「蹲(うずくまる)」とよばれ、珍重された。製作年代は判然としないが、おそらく室町中期を降るものと思われる。成形は輪積みで全体やや厚手に作られていますが、段をつけた口造り、撫でた肩、胴のすぼまり、さらに深い線彫りでめぐらされたいわゆる縄目文など、典型的な室町様式といえる作風であります。ロから肩にかけて、一方に灰がかかって暗緑色の釉膚をなし、ほのかに赤く焼き締まった釉膚の一部は黒い焦げを見せるなど、稀に見る変化に富んだ景色であります。同時代の備前や丹波、常滑などに見ない信楽独特の味わいは、高く評価されている。肩の二方に印が箆彫りされ、底は平底であります。