懐石道具 かいせきどうぐ

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鶴田 純久の章 お話

茶会の食事を懐石料理または懐石といい、その食器を懐石道具と称します。
修業中の禅僧が温石をふところにして一時の空腹をしのぐことからこの名あります。
簡素・淡白な季節料理で本来は亭主自ら料理すべきものとされます。
炉の場合、風炉の場合、または口切り・初釜・席披き・慶事茶などで趣向はありますが、もともと一汁三菜に箸洗(吸物)と八寸を基本とします。
器物には飯椀・汁椀・向付・煮物椀(椀盛り)・焼物(御菜)・一口吸物椀・八寸(硯蓋)、これに銚子・盃・折敷・飯櫃・香の物入・湯次があり、さらに丁重な場合には預け鉢・徳利・猪口などが加わります。
もとは皆具として漆器でありましたが、のちには陶磁器・金属器・ガラス器・素木地ものなどを取り合わせ、特に陶磁器としては向付・’焼物鉢・皿・預け鉢・預け徳利・猪口・香の物鉢などが用いられ、伊賀・備前の焼締めもの、瀬戸・美濃・唐津系のもの、赤絵もの、染付ものがよき取り合わせによって食事の進行を盛り上げるようになりました。
なお本来753式正の饗膳を会席と称し、これは古く仕立てとも振る舞いとも称せられました。
懐石はすなわちその略式ということができます。
また初釜・暁・初風炉・朝茶・名残・開炉・夜咄の茶事懐石を懐石七趣ということがあります。
いせつ(蓋雪)模様だけを白く残して抹紅釉を一面に施し、ちょうど陰文のようにみえるものをいいます。
(『陶雅』『飲流斎説甕』)

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