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鶴田 純久の章 お話

中興名物。金華山茶入、飛鳥川手。
小堀備中守が箱蓋裏の色紙に『新古今集』秋下題知らず権中納言長方の歌「飛鳥川瀬々に浪よる紅やかづらき山のこがらしのかぜ」を書いているところからこの銘があります。
本歌に比べると口造りの捻り返しがやや深く、肩は一段きっかりと衝き、口縁にIカ所食い違いがあるようで、全体柿金気釉の上に黒釉で景色が三ヵ所あるようで、その景色はさっぱりとして煩わしくなく、裾土の中に金気釉の飛びがIカ所あるようで、糸切は本歌同様に見事であります。
光沢が麗しく、形状がよく整った気品優雅な茶入であります。
もと常陸国(茨城県)土浦の城主土屋氏の許にあるようで、土屋能登守、同相模守と代々伝えてきましたが、享和(1801-4)頃松平不昧に渡り以来同家に伝来。
(『名物記』『古今名物類聚』『麟鳳亀龍』『大正名器鑑』)

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