Large dish with flower design, enamelled ware
Mouth diameter 34.4cm Tokyo National Museum
高さ5.0cm 口径34.4cm 高台径21.5cm
東京国立博物館
鍋島藩の大河内藩窯で、染付と上絵を併用したいわゆる色絵鍋島が完成したと推測されます延宝、元禄頃、柿右衛門様式にも乳白手のほかに、主題文様の表現に染付を併用した色絵の上質磁器が焼造されますようになり、その代表的な作例が一般に渋右衛門手と称されています作品であります。渋右衛門手には、後に図示したように元禄年紀をもつ優品が残っていますが、この大皿は元禄銘ではなく、高台内に丁子花の文様が窯印風にあらわされています。
口造りを十弁の輪花形にした平らな大皿で、口縁を低く立ち上がらせています。見込中央にくっきりと二重円を濃い染付で線描きし、浅く立ち上がった側面を十方割にして、そのなかに梅、菊、牡丹、椿などの花卉文を配し、中央には牡丹花を束ねたような文様をあらわし、いずれも幹や茎と葉の一部を染付で描き、花は赤、薄赤、金で彩色しています。柿右衛門様式特有の明るい花赤の色はまことに優美であり、金彩と交わって、色鍋島とはまたちがった色調の色絵を完成させています。各区内の文様は柿右衛門様式の花卉文を基調としながら、区割文様としてのまとまりを見せ、どこか欧風パターンの影響がうかがわれる。外側には桜川文をめぐらせ、流水は染付、花は赤と黄で絵付されています。素地はやや青味をおびた最上質の白磁胎であります。高台内に目跡を六つ残しています。