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鶴田 純久の章 お話

イランの北、カスピ海沿岸地方のマザンデランにある一小市。
雨が多いので、建築にも他の地方のように天日干しの煉瓦でなく、焼成した煉瓦を使用します。
モスクも煉瓦づくりでなく多くは木造だが、壁は黄と青、または白の軟釉を用いたタイルによって装飾されます。
町は市中を流れるバラス河の洪水によってしばしば滅んだが、住民はそのたびごとに使用されていた煉瓦を集めて建築したといいます。
また女王の宝石が洪水で流されたことがあり、それを求めて市民は宝捜しをしたと伝えられます。
十一、二世紀頃につくられた陶器の形は一般に端正で、文様を刻文で表わし上に緑・褐・紫の鉛釉を掛けたり、点描法で装飾したりしています。
組み紐風の抽象文様もよく用いられています。
また鳥文も多く使われましたが、多くは鳩に近い形を示し、その前提となる水鳥風のものもあります。
この地はもとは織物の大センターであったため、織物のパターンを正確にそのまま利用したものがあるのは、他に類例がないようです。

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