銹絵染付梅散文蓋物

銹絵染付梅散文蓋物
Picture of 鶴田 純久の章 お話
鶴田 純久の章 お話
銹絵染付梅散文蓋物
銹絵染付梅散文蓋物

Kenzan: covered bowl with plum blossom design, underglaze brownand blueMouth diameter 17.1 x 17.4cm each MOA Museum of Art
高さ8.4cm 口径17.1×17.4cm MOA美術館
 光琳、乾山は、京洛有数の呉服商雁金屋に育ったことが反映しているのでしょうか、彼らの残した作品には型摺り、型置きなど染織の技術を応用して表現したものがあり、ことに乾山焼の場合は文様の構成にも雁金屋の伝統が生かされているように思われます。
 図127と同形のこの蓋物には、そうした型置きの技法が応用されて文様の構成を面白くしています。蓋表と身の側面の素地の上に、まず梅の花形を抜いた厚手の型紙を用いて白泥で厚く型置きしつつ文様を配置し、その上に重ねたりあるいは余白に呉須と鉄絵具で同じく梅花を描き、上に透明性の釉を薄くかけています。白い梅花は、白泥がやや厚く置かれているので剥れやひびが生じたらしく、釉膚に荒く貫入があらわれ、蓋、身とも内面は白化粧地に梅花の型紙を置いて、呉須の絵具を刷毛で塗り、白く型抜文様にしていますが、あたかも霞に白梅の花を散らしたような趣です。身も蓋も口縁は土見せで、外底に「乾山」 の文字を大きく書し、この蓋物の場合は底まわりも釉がかかっています。
 かつて大阪の鴻池家に伝来したもので、箱の蓋表には 「乾山焼鉢全焼蓋添」 と書付されています。

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