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鶴田 純久の章 お話
渥美 刻文壺
渥美 刻文壺

Atsumi ware: jar with incised ornament. Excavated from sutra mound at Kakegawa-shi, Shizuoka. 12th century. Height 43.5cm.Japan Falkcraft Museum.
静岡県掛川市内経塚出土
12世紀
高さ43.5cm 口径17.0cm 胴径41.0cm 底径16.5cm
日本民芸館
 経筒の外容器として用いられたものでしょう。ややなで肩となっさて、肩の張りに乏しいですが、均斉のとれた見事なプロポーションを示しています。渥美には珍しくねばりのある土を用いており、紐土巻き上げづくりで、胴を三段に積みあげて成形しています。接ぎ目を外から押印で叩き締めていますが、下段のみに圧痕が残っています。上段は接ぎ目のところで焼きひびを生じています。肩の施文は図83の壺と同様、平行沈線を三段にめぐらし、その間に上向きの半円弧を連ねたもので、前者にくらべて円弧の大きいこともこの壺にゆったりとした風格を与える要因となっています。焼き上がりはきわめて良く、肩から胴にかけて刷毛で塗られた灰釉がよく溶けていて、黄緑色に近い色調を呈しますが、全体に白濁化した釉調となっています。渥美蓮弁文壺中の最優品です。

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