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鶴田 純久の章 お話
越前 三筋壺
越前 三筋壺

Echizen ware: jar with three horizontal grooves. Excavated from Kamichōsa No. 3 Ceramic Kiln, Miyazaki-mura, Fukui. 12th century. Height 23.4cm.
Fukui Prefectural Museum of Ceramics.
福井県丹生郡越前町小原上長佐3号窯出土
12世紀
高さ23.4cm 口径11.0cm 胴径18.3cm 底径7.9cm
福井県陶芸館
 昭和五十年夏に発掘された上長佐3号窯の窯内から発見されたもので、越前窯で三筋壺を焼いたことを証明する最初の記念すべき作品です。この越前における三筋壺の発見は、従来、窯体構造から指摘されていた古越前の発生と東海諸窯との関係を作品の上でも立証したことになります。その上、まるく外に折り返した口縁部のつくりが常滑のそれとは異なっており、むしろ猿投窯のそれに近いことか猿投窯との関係を重視すべき新しい問題を提出することになったのです。直立する太い口頸部や、胴に施された三筋文が複線ではなく、単一線になっていることからみて、12世紀後半代の常滑三筋壺に近い形態のものです。熱残留磁気方位測定によるこの上長佐3号窯の年代が1190±30年と出ており、平安末期の作とする根拠を与えたことになります。

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