「銀杏香合」には呉須と染付の両方があり、呉須の方は形物香合番付西方二段目に位し、かなり伝来しているが、これは数少ない染付の逸品で番付にはない。中国景徳鎮窯の産で、日本からの注文品と思われる。
形は銀杏の形で、古く日本の紋所にもあり、香合の形としてもしごく調和よくできている。蓋甲には蜘蛛の巣がかかった叢の図柄が描かれ、意匠として大変面白い。
また蜘蛛の巣の上に小虫が飛んでいるようにもみえ、雅趣まことに豊かで、このような文様はあるいはこの香合一つかもしれない。きわめて稀な作品で、今日まで茶人がことに賞賛してきた。
【伝来】 小大丸家
【寸法】 高さ:36 左右6.5 重さ:72.5
【所蔵】畠山記念館