形物香合番付西方前頭十一枚目。
明代の既製品を茶人が見立てた転用香合で、形のうえから、かつては印章の肉池として文房具であったものと思われる。四方入角の形は中国の常用の形とみえ、「引捨牛香合」も同様。蓋甲には浮き出しの水牛が波文の上を走り、上方に弦月が描かれている。おそらく中国の風俗趣味と思われる。しかも波は藍絵塗りつぶしの上に白線を掻き落としに描いている点など、いかにも中国人らしい着想である。
茶人からの注文香合とは、おのずから趣を異にしていることが認められる。数も少ない。
【寸法】 高さ:3.4 口径:(内)4.2、(外)5.2~5.4 底径:4.6~4.8