大川普済 偈二首 だいせんふさい げにしゅ

大川普済 偈二首
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鶴田 純久の章 お話

重文。
『五燈会元』の著者として名高い大川普済が「惜煙」「四睡」の二偈を書いたもので、きわめて珍しく貴重なものである。
「惜煙」の偈は、十月一日、禅家の開炉に際しての上堂の偈と推定される。
「獣炭」とは普の王という人物が炭を粉にして獣形につくらせた炭で、いわば豪奢な炭である。
「三箇の柴頭」とは、「品」字の形になるように焚きくべた三本の薪のこと。
「家」とは他に知られたくない一家の内密事。
貧と寒とにたえて猛烈に修行に励み、あたかも煙を放出させないように、力をじっくりと内に蓄えて放漫にならなければ、この炉の煙が堂内を暖めるように、必ずやいつか満天下の衆生の心を暖め、これを薫化することができよう、ということである。
「四睡」は、寒山拾得・豊干および豊干に従う虎の四者が、天台山国清寺に集まり、その一隅の岩山によりかかって眠ったという伝承で、よく描かれる画題である。
これはその「四睡の図」上に題した偈である。
大川普済は明州四明に生まれ、はじめ教宗を学んだが飽き足らず禅に帰し、大慧の法系の翁如談に参じてその法を嗣いだ。
教忠報国禅寺・浄慈光孝禅寺を経て五山第二の景徳霊隠禅寺の住持となり、南宋末期の宝祐元年(1253)75歳で示寂。
『景徳伝燈録』ほか四種の僧伝いわゆる五燈録の要をとり、『五燈会元』を募集したことで名高い。
【付属物】箱書付片桐石州筆 添状―二、春屋宗園・策彦周良筆
【付法】本紙―縦25.7 横72.5
【所蔵】梅沢記念館

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