藤原信綱筆。
一首和歌。
信綱の一首懐紙は正治二年七月四日当座の「花有悦色」と「関路月」「正月」、本図の四葉が知られ、この懐紙では端作りに三行にわたる漢文の序が添えられている。
行幸に供奉した帰途、摂津国江口のあたりで、五人の遊女を召しその別れにたむけたとされるが、たぶんのちに改めて懐紙にしたため奉ったものであろう。
「花有悦色」の懐紙よりはるかに整斉の感が強く、皇太后宮少進の官名を添えて、改まった趣で位署を書いている。
「能野懐紙」には信綱の名はないが、これら三葉とも皇太后宮少進のときのものであり、書風からみても正治二年前後のものとみて誤りはないであろう。
【寸法】本紙縦30.0 横46.0