明代。
名物裂。
具留利とは周囲の意味で、表具の中廻しのことである。
中国で軸物の表具に本紙の部分をくり抜き、切抜表具の形にして用いたもので、本紙のぐるり、すなわち中縁の意味からこの名称が生まれた。
明代万暦錦の一種であり、織留の部分で、茶地に黄土・緑・紺などの色糸を用いて種々の細かい紋様を織り出している。
厚手の錦であるために、家の仕覆に用いられている例が多い。
わが国では表具に厚手の裂を嫌うために、ほとんどこのような厚地の錦は使用されることが少なく、むしろ大形の器物の袋や帛紗に適しているといえる。
なお切抜表具として扱われた原形のものも遺存しているようである。