紅地唐草紋繡裂 くれないじからくさもんぬいぎれ

紅地唐草紋繡裂
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鶴田 純久の章 お話
紅地唐草紋繡裂
紅地唐草紋繡裂

十七世紀。
ペルシア刺繍(トルコ製)の一例であるが、十七世紀末頃の製作になるものと思われ、いわゆるチェーン・ステッチだけで軽妙に縫い取りがなされている。
蔓唐草の旋回する曲線は自由で、織物とは異なった人なつっこい情感をたたえている。
紅白の単弁と黄白の複弁の花を結ぶ流動的に現わされた一重蔓は、鉄線のような張りが感ぜられる。
当時の茶人たちはこの感覚的な色調を楽しみ、エキゾチックな雰囲気を十分に満喫したのであろう。
茶入家の仕覆裂であったものを解いて保存している。
このほペルシア刺繍の家袋に用いられた例は相当数にのぼり、江戸中期に輸入されたこれらの裂への憧れは、いつの時代にも変わらないであろう。

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