きつちょうけいしゅう伝小野道風筆。
『斎宮女御集』断簡。
斎宮女御は村上天皇の皇女徽子(929~1985)で、三十六歌仙に選ばれた五人の閨秀歌人の一人である。
この歌集はもと粘葉装の冊子本で前田育徳会旧蔵の四枚続きがあり、鳥の子質の料紙に雲母が粗く撒かれ、表面に飛雲がある。
光悦流の書を能くした小島宗真の家に伝えられたところからこの呼び名がある。
女性らしい繊細で優美な書風は、横へのひろがりよりむしろ上下への弾力に富んでいる。
柔軟で艶やかな運筆は、「高野切」より一時代下がった白河院(在位一〇七二186)頃の様式を示すものといえる。
【伝来】藤田家
【寸法】全体―縦106.0 横41.0 本紙―縦2.5 横31.8