Vase with pine. bamboo、 plum and mandarin orange design、enamelled ware
高さ30.6cm 口径3.5cm 胴径18.6cm 底径14.5cm
重要文化財
色絵鍋島の神酒瓶は他に例を見ません。しかも形姿、文様ともにまことに優麗で、色絵鍋島中第一の名作といわれるのも当然のことでしょう。
わが国における神酒瓶は、古く平安時代以来一つの基本的な形式を伝えていますが、この瓶子は、江戸中期の瓶子としては古格を遵守した珍しい例です。その完成された染付と上絵付の作風から推して、おそらく元禄頃の作と思われます。古い形式の瓶子を模倣して特別に調整されたもので、神酒瓶であるからにはしかるべき神社に奉納されたものか、吉事の調度として藩主の御用品であったかと思われます。
肩のまるみから底にかけて流れるような曲線を見せる胴は、すっきりと立ち上がった頚部を得て、気品高く優美にまとまっています。
大川内窯独特の緻密な白磁胎に、一方には松竹梅、他方には橘と菊をあらわし、左右には鶴と亀を配しています。染付のだみ塗りと線描き、さらに赤、黄、薄緑、薄紫などの色絵上絵付も明るく華やかに傅彩されています。これほど鮮かに、さまざまな吉祥文様を盛り込んだ作例は稀で、日本の色絵磁器のなかでも完美の名作といえます。