金継ぎを受け賜っています。お気軽にお問い合わせ下さい。

磁器 じき

素地は白色でやや透明または半透明であるようで、まったく吸水性がなく、硬度も陶器などに比べて硬いやきものであります。
多くは施釉製であります。
昔わが国においてはやきものを石焼と土焼に分けましたが、磁器は石焼の精良品でやきもの申最も高級なものであります。
磁器は中国において創製されました。
漢代の末にその萌芽があり唐に至って発達しましたが、良品を出しだのは宋以後明代であります。
江西省景徳鎮窯は精巧と多産とをもって全世界に冠しています。
わが国においては元和・寛永(1615-44)の頃帰化朝鮮人金ヶ江三兵衛(李三平)が肥前有田泉山に磁器原料を発見して創製し、朝鮮においては高麗朝におそらくは中国陶工によって創製されました。
西洋では十七、八世紀の境にスペインにブリット磁器、ドイツでは長石質磁器、イギリスにおいては骨灰磁器が創製され、その後各種の特種磁器が発明されました。
磁器は硬質磁器と軟質磁器とに大別され、硬質磁器は高圧電器用・高熱用・食卓用などを含み、軟質磁器は東洋磁器すなわち中国磁器・日本磁器・ドイツのゼーゲル磁器・フランスのセーブル新磁器・ブリット磁器・骨灰磁器などを含みます。
磁器胎の硬質・軟質は単に粘土質物の含有量の多少によるもので、粘土質物が多量であると胎を磁器化するために焼成火度は高温を要し、摂氏1350度以上で焼かれると胎に針状結晶を生じ、硬度が極めて強くなり強靭性がでる。
この結晶はシリマナイトと名付けられています。
ドイツ人ゼーゲルの食器用白磁器について成分上より分類した論述によると1)硬質欧州磁器は粘土質分か五割以上に達し、珪石および長石をその残量に適宜に含有します。
2)中国および日本磁器は粘土質分か四割内外で残量のうち長石よりも珪石を多量に含んでいます。
3)フランスのセーブル新磁器は粘土質分を多量に含み、珪石および長石のうちに石灰を多量に含有しています。
4)フランスのリモージュ磁器は長石分の含有量が四割に達し、珪石分は適量で粘土質物は比較的少なく、少量の石灰分を含んでいます。
5)スペイン・フランスのフリット磁器はフリッ卜を多量に含み、少量の石灰および粘土質物を含有します。
6)イギリスの骨灰磁器は五割内外の骨灰を含有し、粘土質物と長石の適量および少量の珪石を含有します。
なおゼーゲルの発明したゼーゲル磁器は東洋磁器に類するもので、粘土物は四割以下で長石の量が比較的多く、適量の珪石を含むものであります。
硬質特種磁器胎として化学用・電気用は六割以上の粘土物を含有し、適量の長石・珪石を含むものでありますが、高熱用・耐熱用としては最近マグネシアを多量に含んだもの、滑石を主原料とした滑石磁器・タルク磁器・ステアタイト磁器と称されるものがあります。
またアルミナを多量に含むムライト磁器などもあります。
わが国における磁器の産地の主要なものは、瀬戸およびその付近、名古屋、京都、九谷、砥部、多治見およびその付近(美濃焼)、有田およびその付近、波佐見、出石、本郷の十ヵ所であります。
漢字の磁器の語は甕器の俗字で、『五雑俎』に「今俗語に窯器を謂ひて磁器となすは蓋し河南磁州窯最も多く産するによりて相沿ひて之を名く」とあります。
つまり銀を朱堤と称し墨を愉廉と称する類であります。
したがって甕器は陶器(やきものの総称の意味の陶器)の堅緻なものをいうのであります。
ただし磁州窯は陶胎であって磁胎ではないようです。
また中国の書に磁器とあるものには磁州窯器を意味する場合があります。

タイトルとURLをコピーしました