青海波 せいかいは

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鶴田 純久の章 お話

須恵器の体部内面に残る当て道具の痕跡をいいます。
一見、波の文様のようにみえるのでこの名がありますが、正しくは同心円が不規則にいくつも重なってできたものであります。
一般に大形須恵器の場合は、紐づくりでおよその形をつくりあげたあと、器体の内壁に同心円を彫刻した木製の当て道具を用い、器体の外面を叩き板で万遍なく叩いて成形します。
これは器壁を叩き延ばして器形を整え、器壁の中に残る空気を完全に追い出して焼成中の爆発を防止する効果をもちますが、同心円文すなわち青海波は、この作業工程の際に器体の内壁へ押捺されます。
須恵器の同心円文が注意され始めたのは江戸後期の頃であります。
寺井菊居は『以文会筆筆記抄』の中で、須恵器壷の内壁に渦文つまり同心円文のあることに注目し、これが朝鮮の壷の類にも認められることを指摘しました。
その後明治に入って、八木奘三郎らも内壁に同心円文を有する陶質の土器を、特に朝鮮土器と呼んでその他の須恵器と区別しました。
しかし朝鮮土器の名称は現在まったく用いられていないようです。
なお同心円文の原体は未だ発見されていないようです。
舞楽青海波の舞入の服に波の文を染めているところから出たもので、古くから著名な図案であります。
同心円を四分したようなものを重ねています。
陶器の文様にもよく用いられます。

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