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鶴田 純久の章 お話

書名。中国清朝乾隆年間(1736-95)の海塩の朱琉(笠亭)の著。六巻。
中国における陶磁の専門書として最初のものです。
巻一は「説今」と題し、江西省饒州の今窯および陶冶図説二十則の二項に分かれ、前者は清朝の初めから乾隆年間に至る時代に景徳鎮で磁器を焼造した沿革および器物の大体を、後者は同地における磁器焼造の方法を叙述し、これに著者の考証を付記しています。
巻二は「説古」と題し、原始および古窯考の二項に分かれます。
巻三は「説明」と題し、饒州の明窯および造法の二項に分かれ、前者では明代の景徳鎮窯について洪武・永楽・宣徳・成化・正徳・嘉靖・隆慶・万暦などの変遷を叙し、造法の項では主として明代の景徳鎮窯の焼造法に関係のある記事を諸書から抜いて列挙しています。
巻四・五・六の三巻は「説器」と題し、巻四は々その上々で太古から六朝末までの諸器の諸書にみえているものを挙げて考証しています。
巻五は夕その中々で、唐・宋・元の諸器を前巻と同様に記しています。
巻六は々その下々で、同様に明代の諸器のことを記しています。
『匈雅』の著者寂園叟は「海塩の朱笠亭の撰せし陶説は古を援きて今を証して詳贈博洽なり、また藍本ありといへど要するに宋元以前の研究に於て頗る審かなり、笠亭は乾隆に生る、彼の時には康雍の甕品なほ未。
だ発明せられず、即ち明甕もまた多くは簡略なり」と記しています。
本書は『古今図書集成』および『格致鏡原』に集められている諸記文を案配したもので、この両書の記載を除くと残るところはほとんどないようです。
本書の和訳としては葛西因是・青木木米・三浦竹泉の三訳述があるようで、これらについては『茶わん』三十六号以下において尾崎洵盛が詳細に論じているので参照。
なお1933年(昭和八)になって中国大連で楊井勇三が訳本を刊行しました。

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